メバルを同定してみる

2021/06/10
 
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メバルといえば刺し網や釣りで漁獲される海水魚で、一般にシロメバル、クロメバル、アカメバルの3種を指すことが多い(以後3種をまとめてメバルと呼ぶ)

 

 

これらメバル3種は見た目が良く似ており、釣人でもちゃんと区別している人は少ない。かく言う私も長いことうやむやにしてきた。

 

 

今回、生きたメバルを手にする機会があったので、これを機にちゃんと同定してみようと思う。

 

 

3種の識別方法

中坊・甲斐(2013)によると、これら3種は下記の特徴などから識別することができるとされている。

 

 

表1. 計数的形質
胸鰭軟条数 臀鰭軟条数 側線有孔鱗数
アカメバル 通常15(14~16) 通常7(7~8) 36~44
クロメバル 通常16(15~17) 7~8 43~49
シロメバル 通常17(16~17) 通常8(7~9) 37~46

 

 

表2. 生時の色彩
背面と胸鰭の色 両目間
アカメバル 赤色~オレンジ 顕著な模様がある
クロメバル 黒色(背面は青みがかることもある) 模様がない
シロメバル 茶色~こげ茶色 ないか不明瞭な模様がある

 

 

この内、3種を識別する方法として胸鰭の軟条数を数える方法が最も有名かつ容易であり、実際に同定される際によく使われる形質だ。

 

 

私自身4年前までこの胸鰭軟条数のみで3種を識別していた。

 

 

表3. 胸鰭軟条数
14 15 16 17
アカメバル
クロメバル
シロメバル

 

 

しかし、”通常”とあるように胸鰭軟条数は個体差があり、通常値以外の個体の出現率は決して低くはない。中には左右で鰭条数が違う個体も存在する。

 

 

また、表3を見て分かる通り胸鰭軟条数16の個体に関しては3種すべてと被っており、唯一他種との被りがないのは14軟条のアカメバルのみである。

 

 

そのため胸鰭軟条数のみでメバル3種を識別することは困難であり、正確な同定には生時の色彩や側線有孔鱗数の計数が必要になる。

 

 

 

 

特に側線有孔鱗数は死んだ個体でも有効であり、クロメバルは他の2種と比べ被りが少ないため同定する上で重要な形質となる。

 

 

生時の両目間の模様に関しては同定形質としてる場合が少ないことに加え、私自身生きたメバルを見た経験が少ないので、同定形質として使えるのか不明である。そのため、この記事ではこの形質をサブとして扱いその他の形質を優先して同定をした。

 

 

また、生時の色彩を記録するためメバルは採集した直後に撮影し、各鰭の鰭条数や側線有孔鱗数は死後計測した。

 

 

実際に同定してみる

1個体目

 

 

1個体目は夜間ごく浅い岩礁で釣れた標準体長142.5mmの個体。体が白っぽく胸鰭が茶色いことからシロメバルが近そうだ。また、両目間の模様は不明瞭でシロメバルの特徴と一致する。

 

 

軟条が太いので比較的数えやすい(根元を数える)

 

 

胸鰭軟条数は左右とも17で臀鰭軟条数が8で、シロメバルまたはクロメバルの値と一致しアカメバルを除外することができる。

 

 

 

 

生時の斑紋からシロメバルと同定しても良さそうだが、念のため側線有孔鱗数(LLp)も数える。側線有孔鱗数は側線のうち有孔鱗数のみを数える。

 

 

有孔鱗は名称の通り孔の有る鱗で、魚体を起こして観察すると盛り上がって見えるので数えやすい。

 

 

この個体の側線有孔鱗数を数えてみると41であった。胸鰭軟条数17。臀鰭軟条数8。側線有孔鱗数41。体が白っぽく頭部背面に不明瞭な斑紋があることから個体1はシロメバルと同定した。

 

 

2個体目

 

 

2個体目も1個体目と同じ条件で釣れた個体で標準体長は152.8mm。体色は個体1よりやや黒っぽい白色。頭部背面に不明瞭な斑紋がある。

 

 

各所を計測すると胸鰭軟条数が左16、右17。臀鰭軟条数8。側線有孔鱗数40であった。胸鰭軟条数のみで同定するとクロメバルまたはシロメバルになるが、側線有孔鱗数と生時の色彩からこの個体はシロメバルであることが分かる。

 

 


3個体目

 

 

3個体目はごく浅いテトラ帯で釣れた標準体長135.6mmの個体。体色は白色っぽく頭部背面に斑紋がない。

 

 

各所を計数すると胸鰭軟条数17。臀鰭軟条数8。側線有孔鱗数が39であった。クロメバルの側線有孔鱗数は43以上なのでこの個体はシロメバルまたはアカメバルのどちらかであることが判る。

 

 

体色は赤系というより茶色系で、胸鰭軟条数と臀鰭軟条数がシロメバルの方がより一致することからシロメバルと同定した。

 

 

 


4個体目

 

 

4個体目は昼間やや深場で釣獲した標準体長78.2mmの小型個体。体色はやや白っぽいがシロメバルと比べるとオレンジがかって見える。また、両目間の模様は明瞭だ。

 

 

各所を計測すると胸鰭軟条数が16、臀鰭軟条数が7、側線有孔鱗数は41であった。胸鰭軟条数が16なので3種すべてと一致するが、側線有孔鱗数から通常16軟条のクロメバルを除外することができる。

 

 

体色を改めて見るとシロメバルと比べ全体的にオレンジで、両目間の模様が明瞭なことから個体4はアカメバルと同定した。

 

 


 

 

メバル3種の同定は胸鰭軟条数、側線有孔鱗数、生時の色を見えればあるそこそこ同定できることが分かった。

 

しかし、今回クロメバルと思われる個体は採集できず観察することができなかっため、色彩の比較は叶わなかった。

 

次回は生きたクロメバルを調達し両目間の模様を記録したいと思う。

 

 

 
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