ヌルヌルの深海魚「シャチブリ」を食べる

2021/05/31
 
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こんにちは。明けましておめでとうございます。去年は非常にたくさんの魚との出会いがあり、私としてはとても良い一年でした。

 

 

特に深海の魚との出会いは多く、愛知へ行っては深海魚、築地へ行っては深海魚、沼津へ行っては深n(ryと、まさに深海な一年だったといえるでしょう。

 

 

そんな深海魚の中でも特に印象に残っている魚がいます。

 

 

その名も「シャチブリ」です。

 

 

 

 

 

 

シャチブリとは

 

シャチブリとは水深150~500mに生息する深海魚で、なんといってもこのインパクトのある見た目が特徴です。深海魚ではありますが、稀に浅海域に出現し地元の漁師さんを驚かせます。最近だと数年前に神奈川県の国府津沿岸の刺し網漁で大量漁獲されたものが有名です。

 

 

このように浅海域で漁獲されることは珍しいですが、実はシャチブリ自体、底引き網漁と呼ばれる漁法でよく獲れる魚で、そこまで珍しい魚ではありません。

 

 

未利用魚「シャチブリ」

前述したように、シャチブリ自体珍しい魚ではありません。なのに私たちの元へやってくることはありません。

 

 

何故なんでしょう。

 

 

いくつか理由はあるともいますが、一番の理由は「見た目」だと思います。シャチブリの見た目は普段私たちが食べている魚のそれとは程遠いものです。

 

 

その為、シャチブリを売っても買う人がいない→市場の人はシャチブリを買わない→漁師さんたちはシャチブリを港へ持って帰らない。ということになります。

 

 

結局、シャチブリのように一部の人にしか受けない魚は世に出回らず、出回ったとしてもごく一部の地域での流通に留まってしまう。こういった魚たちは「未利用魚」と呼ばれ、日本各地で見られます。現在、こういった未利用魚を「有効活用できないか?」という声があちこちから上がり、色んな人や企業がその課題に取り組んでいます。

 

 

シャチブリを売っている場所

未利用魚であるシャチブリですが、全く流通しないわけではありません。実は愛知県蒲郡市の市場では時々このシャチブリが売られています。また、極稀ではありますが小売店でも見ることができます。

 

 

他の魚たちと一緒に売られるシャチブリ。値段は不明ですが安値だと思います。
よく見るとヤリヒゲやらミドリフサアンコウが入っていてマニアからすると堪らないラインナップになってますね。

 

 

シャチブリを食べる

前置きがやや長くなりましたが、シャチブリを食べていこうかと思います。入手先は例によって蒲郡市です。

 

 

 

後日届いたシャチブリは6尾。これらを刺身、煮付け、塩焼き、干物の4点で食べていこうかと思います。

 

 

 

まずは下処理です。はじめに内臓を取り出します。大抵の魚の下処理はまずは鱗を取りますが、シャチブリには鱗がないので、いきなり内蔵を取り出しても問題ありません。

 

 

あと、シャチブリの体は超ヌルヌルです。内臓を取り出す際には包丁よりハサミのほうがイイです。中からは外見とは正反対の色をした大きな肝がでてきます。

 

 

しかし、この肝ですがいくら調べても毒の有無が不明です。少し怖いですが立派ですし、せっかくなので少しだけ食べることにします。

 

 

刺身

 

まずは鮮度を活かした「お刺身の肝和え」です。見た目からして普通じゃありませんが、触感も普通ではありませんでした。

 

 

まずヌルヌルがすごい。

 

 

外側がヌルヌルなのは魚あるあるだが、この魚は内側もヌルヌルしている。

 

 

身に含まれた膨大な水分の中に、微かな白身魚を風味を感じるがヌルヌルが敗因となり、旨いとは言えない。

 

 

肝は普通の肝でしたが、食べる際には自己責任でお願いします。

 

 

スープ

次はシャチブリ料理の王道「シャチブリ汁」。実際のところ王道なのかは知りませんが前にどっかのサイトで、シャチブリを汁物にするのを見てから僕の中ではこれが王道料理です。

 

 

シャチブリの影響で汁ごとヌルヌルになりますが、私たちがよく食べている「なめこ汁」となんら変わりません。

 

 

汁に入っている半透明のものは頭部の軟骨です。コリコリしていてシャチブリの中で一番おいしい部位になります。

 

 

丸焼き

 

少しチャレンジして塩焼きも作りました。もともと水分が多いせいで、焼くとこのように小さくなってしまうのが残念です。

 

 

シャチブリとはとても儚い魚です。

 

 

肝心な味ですが、生の時に比べるとぼやけます。ほぼ無味といってもいいでしょう。

 

 

 

また、ヌルヌルも生の時に比べると増幅されている気がします。塩焼きはお手軽ですが、オススメできません。

 

 

干物

 

最後の料理は「シャチブリの干物」です。これは少しオススメです。

 

今まで散々ヌルヌルが~と嘆いていましたが、干物にすることによってヌルヌルが排除されています。素晴らしいです。

 

 

水分が多い分乾燥に時間がかかりますが、シャチブリを美味しく食べたいのであれば時間を惜しまずに乾燥させるべきです。

 

 


 

 

結局旨いのか不味いのか、よく分からない書き方をしてしまいましたが、正直なことを言うと旨くはありませんでした。

 

 

利用されていない理由は、見た目以上にヌルヌルが関係している気がします。

 

 

誰かが手軽で美味しい食べ方を見つけてくれるのを楽しみにしています。

 

 

 



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