セミホウボウを食べる

2022/12/22
 
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日本にはセミホウボウという変わった魚がいる、

 

 

セミホウボウはスズキ目セミホウボウ科に属する魚で、浅場からやや深場に生息する底生性魚類である。幅広く分布し日本では青森県以南に分布するが南方から採集されることが多い。定置網や底引き網、釣りなど様々な漁業で漁獲される。なお、日本産セミホウボウ科魚類には本種を含む4種が知られている。

 

 

 

 

セミホウボウとは

セミホウボウはセミホウボウ科の中でも最もよく見られる種であり大型になるため、食用として市場に流通する。値段は安いことが多いが珍魚価格でやや高いこともある。今回の個体は都内の市場で購入した。目方は不明だがそこそこ大きくて700円くらい。産地は大分県で底引き網で得られてたそうだ。胸部には丁寧に〆跡があったが少しでも付加価値を付けようとしたのだろうか。

 

 

標準和名に”ホウボウ”と付くが私たちのよく知るホウボウとは異なるグループに属する。両グループは外見的にも大きく異なっており、背鰭の数や鱗の形状から簡単に区別することができる。詳しくは画像と一緒に解説しようと思う。

 

 

 

 

まずは上から見たセミホウボウはずんぐりとした印象。本種を見かける場合はこのアングルで見かけることがほとんどだ。非常に大きな胸鰭は標準和名を”セミ(蝉)”の由来とされており、ホウボウ科魚類とは異なり遊離軟条を持たない。この派手な見た目からダイバーからも人気がある。吻はやや尖り近縁種のオキセミホウボウと区別することができる。

 

 

 

 

横から見たセミホウボウはややシュっとした印象だ。背鰭が4基(4つ)あることからホウボウ科魚類とは明瞭に区別される。長いアンテナのようなものが第一背鰭。小さく目立たないのが第二背鰭、この背鰭は閉じた状態だと見落としやすいので注意が必要だ。すべて棘条から成るのが第三背鰭、主に軟条から成るのが第四背鰭だ。ちなみに背鰭が4基の魚は珍しく、多くの種が1基(コイやアイナメなど)か2基(マハゼやホウボウなど)である。

 

 

臀鰭は7軟条で黒斑があることと前述の特徴から他の日本産セミホウボウ科魚類と区別することができる。

 

 

 

 

セミホウボウを食べる

鱗は非常に硬くて鋭い。後半部の鱗、周囲の鱗と比較すると大きい。こんな鱗なので包丁だけで立ち向かうのはやや厳しい。あらかじめ背鰭の付け根あたりにキッチンバサミを使用して切れ目を入れておく。同じ要領で肛門から臀鰭の付け根あたりまで切れ目を入れる。

 

 

 

 

ここまでやれたら頭部を切り落とした後に頭から尾にかけて皮を剥ぐ。簡単に剥ぐことができるが、鱗がトゲトゲしているので怪我をしないように注意が必要だ。皮の下には脂のような層が見られる。

 

 

 

 

後は普通の魚と同じように三枚におろすだけだ。身は全体的に白が血合い部はかなり赤い。血合い部のみ切り取って出されたらマグロと間違えてしまうかもしれない。

 

 

刺身

鮮度がよかったため刺身で食べてみる。身が白濁しており美味しそうな見た目には見えないが味はどうだろうか。

 

 

 

 

旨味が欠けるがクセがなく良い触感をしている。酸味を感じたので腐敗しているのかと思ったがどうやらそういう魚らしい。酸味がある魚は他にサバヒーが知られている。

 

 

塩焼き

次は塩焼きにして食べてみる。加熱後の縮み具合、旨味の少なさを見ると水分の多い魚なのかもしれない。とはいえ身がしっかりしており魚の味が楽しめる。気のせいなのか生の時のような酸味を感じない。

 

 

 

 

個人的にはセミホウボウ特有の酸味が味わえる生食がおすすめだ。正直、焼きで食べると特徴がなくてイマイチだ。

 

 


セミホウボウ自体は珍しい魚ではないが流通量が少ない。見かけたら結構レアなのでその際には是非食べてみてはいかがだろうか。先ほども言った通りこの魚は鮮度が良い場合、生食がおすすめだ。

 

 

 



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