アメ横で買った謎魚を食べる

2017年2月6日、築地の帰りに立ち寄ったアメ横の地下食品街にて謎の魚をゲットしました。アメ横といえば多種多様な物品が数多く売られており、中には変わった食材も売られています。特に地下食品街はかなりおすすめで、地上の店とは異なりディープな香りを漂わせています。魚好きの人らはアメ横に行ったらまずはここへ行こう。
地下食品街自体はそこまで広くはないものの、魚以外にも精肉や香辛料まで幅広く扱っています。日本では馴染みのない食材もあり日本人向けというより、日本に在住している外国人向けといった感じです。ちなみに今まで見たものの中で変わった魚はジギョ(ニシン目)、ヒラ、フウセイ(ニベ科)、パンガシウス(ナマズの仲間)などです。ヒラは産地へ行けばよく見られるそうですが関東だとやや珍しいです。珍しい魚があるとつい写真を撮りたくなりますが、勝手に写真を撮ると注意される場合があるので許可を取った方が良いでしょう。魚を買った後だとよいかもしれません。あと床が濡れてるので転ばないように注意しましょう。
謎魚の正体
それで今回買った魚がこれですよ。ぱっと見は黒っぽくてやや細長いフォルム。値段は破格の200円。冷凍かつ袋に入った状態なので目すら見当がつきませんが、ラベルに名前が書いてありました。この場合キャットフィッシュラウンドという種なのではなく、キャットフィッシュ(ナマズ)のラウンドという意味になります。ラウンドというのは丸の魚ことで内臓も頭も取り除かれていない状態です(頭と内臓を取ったものをドレス、内臓のみを取ったものをセミドレスと呼びます)。標本用に魚を確保するならラウンドが嬉しかったりします。もちろん今回は食べますが。
しかしキャットフィッシュと言われてもナマズ目って種数が莫大だし、僕自身ナマズをはじめとする淡水に弱すぎる。産地はインドネシア産なので日本のナマズとは違う種の可能性が高そうです。製造日が2016/07/10なので現在から半年以上前のものだが、あまりこういうことは気にしないので問題はなし。私は一年前くらいでも普通に行ける気がします。
さてさて、帰宅するや否や早速流水で解凍してきます。小さいので早くとけそうです。ご尊顔はこんな感じ。素人の僕でもよく分かるが、日本のナマズとは明らかに違う。
横から見るとこんな感じ。日本のナマズ科と同様に背鰭は1基だけど基底がかなり長いことが特徴的です。念のため魚類検索で同定を試みた結果、ヒレナマズ科の魚に同定されました。念のため淡水魚に詳しい友人にも確認したがヒレナマズの仲間でいいみたい。ヒレナマズ科の魚は東南アジアを中心に広く分布するが移入された個体の場合もあり、日本では石垣島に移植されたClarias fuscusが記録されている。養殖魚として優秀であり観賞魚でも流通するらしい。
ちなみに、ネットで軽く調べたところヒレナマズ科の魚は100種を超えるそうだ。。。さらなる同定を試みるも似た種が多すぎて諦めました。付け焼き刃の知識ですがハマギギみたいに頭部の骨板?で同定するっぽいです。この写真から同定できた人がいたらこっそり教えてください。
髭は4対8本で上唇の髭が一番長い。歯はよくあるザラザラ系。一応、後から写真で同定できるようにこういう写真も撮っておくことが大切ですね。
完全に融けたようなので捌いていきます。どうやって食べるか決めてないけど、とりあえず内臓を取って腹開きに。内臓はグロいから載せられないけど結構きれいな色してましたよ。ちなみに左上の器官なにか分かりますか?
実はこれヒレナマズの鰓なんです。鰓の上部に樹状に発達した器官があり、一般的な鰓と比較してもその異質さは一目瞭然です。この部分は補助呼吸器官で一部のヒレナマズ以外にもベタやカムルチーなどが似た形質を獲得しています。ヒレナマズはこの特殊な構造のおかげで短時間でがあるが陸上での生存が可能です。その生態から英語ではウォーキングキャットフィッシュとも呼ばれています。
一般的な鰓(タマガシラ)
ヒレナマズを食べる
さて、それでは調理していきますが、袋には加熱用と書いてあったので熱は通しましょう。「walking catfish cooking」で検索するとみんな焼いたり揚げたりしてますね。匂いも少し気になるので油でガンガンあげましょう。もちろん鰓も食べますよ。
身は臭みがなくふわふわで美味しいです。皮は少し硬めですが私は魚のグニョグニョした皮が大好きなのでむしろ歓迎。あとは鰓、魚の鰓って結構固いからビクビクしながら食べたのですが思いのほか柔らかくて安心しまいた。サクサクでなかなかの美味。
200円でこんなに楽しめるのは魚ならではですね。食用輸入魚は日本ではめったにお目にかかれない魚がまじまじと観察できて最高です。次はパンガシウスかジギョがあれば買いたいところですがどちらも高くてでかいので悩みどころ。