深場釣りの外道「スミツキアカタチアカタチ」を食べる

2023/06/02
 
この記事を書いている人 - WRITER -

 

アジ釣りに行った友人から「これいる?」と変な魚の写真が送られてきた。赤くて細長い魚、これは魚好きならばみんな知っているアカタチの仲間ですな。数年魚を集めているがアカタチはまだ一回しか見たことないし、赤い魚はうまいと相場が決まている。もちろん頂かない理由はなかった。

 

 

 

 

 

 


4匹も貰っちゃいました

 

 

 

アカタチの仲間は経験に乏しく同定に自信がありせんでしたが、魚類検索を用いてすんなりと同定。今回の魚はアカタチの中でスミツキアアカタチと呼ばれる種でした。本種は水深100m前後に生息する底生性魚類で水中写真では砂に潜っている姿が目撃されています。広域に分布し日本国内では北は青森県から南は長崎県・高知県まで記録されています。また、アカタチの仲間は「アカタチウオ」と呼ばれることも多々ありますが、見ての通りタチウオ科とは異なるグループに属します。アカタチは腹鰭があるしね。

 

 

アカタチ科の区別

一応、スミツキアカタチとその近縁種との識別方法を紹介します。既に識別ができる方や興味ない方は飛ばしてください。

 

 

スミツキアカタチはスズキ目・アカタチ科・スミツキアカタチ属に属します。このアカタチ科の魚たちは形態で大きく2つに別れます。体が著しく細長く、背鰭・臀鰭・尾鰭が連続し鰭条数が多いもの、体はやや細長い程度で背鰭・臀鰭・尾鰭が不連続で鰭条数が少ないもの。前者にはアカタチ属、スミツキアカタチ属の魚が属します。さらにアカタチ属にはアカタチ、イッテンアカタチ、インドアカタチがスミツキアカタチ属にはスミツキアカタチが属します。後者にはソコアマダイ属とアカタチモドキ属が含まれます。余談ですがこのソコアマダイ属は近年新種が多く発見されているホットなグループです。

 

 

 

 

色々なアカタチ

アカタチはどの種も色と体型が似ており、見慣れていないと識別が難しいかもしれませんが模様を覚えてしまえば簡単に区別することができます。まず、スミツキアカタチですが上顎の膜に黒斑があることから容易に他のアカタチ属の魚と区別することができます。ただし、この黒斑は顎が閉じた状態だと隠れてしまう場合があるので注意。

 

 


この黒斑も背鰭が閉じてると見づらいかも

 

 

スミツキアカタチはアジビシやアマダイ釣りしばしば漁獲されますが、同じ水深帯で釣れるイッテンアカタチという似た魚がいます。こちらは上顎の膜に黒斑はありませんが、背鰭の前方に明瞭な黒斑があることからスミツキアアカタチと区別することができます。これは私の勝手な印象になってしまいますが、色彩も若干異なりスミツキアカタチよりイッテンアカタチのほうが赤みが強い気がします。他にもスミツキアアカタチの胸鰭後方に淡色班があることも特徴みたいです。

 

 


インドアカタチの中でも小さい個体

 

 

これはシラス漁で漁獲されたインドアカタチというやや珍しいアカタチ。体高がやや高いことなどが特徴であり相模湾や土佐湾からの記録があります。その背鰭に不顕著な黒斑があることも特徴のようですが、現物を見ると結構目立つ黒斑ですね。

 

 

 

 

標準和名「アカタチ」も存在しますが、写真はないので説明だけします。この種は体高が低いこと、背鰭や上顎の膜に黒斑はなく生鮮時には体側い黄色班があることから他のアカタチ類と区別することができます。また、このアカタチは他のアカタチ類とは異なり比較的流通量の多い種であり、底引き網で漁獲されたものが市場に出回ります(一番手に入れやすいはずなのに未入手…)。あとスミツキアアカタチやイッテンアカタチを総称してアカタチと呼ぶので混同しないように注意です。

 

 

スミツキアカタチを食べる

今回貰ったスミツキアカタチは鮮度がとてもよかったので今回は豪快に刺身で食べていきます。まず、鱗を落としますが小さく剥がれやすいので包丁でなでれば簡単に取ることができます。

 

 

 

 

普通の魚と同じように三枚おろしにしますが、頭は落とさない方が捌きやすいでしょう。頭部を片手で押さえながら尾にかけて包丁を滑らせれば簡単に卸すことができます。身はピンク色で綺麗ですね。見るからに美味しいやつ。

 

 


スミツキアカタチも黄色い斑紋があるんですね

 

 

こういう魚って皮は剥かないほうが美味しいですが、もし剥くなら頭のほうから引っ張ると簡単に剥くことができます。これやるならさっき鱗取らなくてもよかったかもしれませんね。後は適当に切って食うだけ。

 

 

 

 

オシャレに皮ありと皮なしの2パターンで刺身にしてみました。皮の方は熱湯で軽く湯引きにしてあります。味はやや水っぽいものの旨味が強いめちゃくちゃ美味しい。特に皮に旨味があって皮つきの方が断然美味しい。長い系の魚だったため骨が心配でしたが全く気になりません。

 

 

実はこのスミツキアアカタチ、結構釣れてはいるもののリリースする人が多いようです。こういうニョロニョロした魚って蛇みたいだから気持ちが悪いのでしょうかね。理由は分かりませんが市場や魚屋ではまず手に入らない食材ですし、釣れた際には是非味わっていただきたいものです。

 

 

 



- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

Copyright© フィッシュズカン , 2023 All Rights Reserved.